地元のお葬式に参列しました
地元の古い教会で、知り合いの方のお葬式がありました。故人は、うちの奥さんも所属している民族楽器ニッケルハルパの演奏グループのリーダーで、家族ぐるみで親しくお付き合いしていた方でした。
スウェーデンのお葬式の服装は、日本に比べるとかなり自由です。男性はスーツかジャケ
ットにネクタイが一般的です。ネクタイの色は、故人に近い親族は白、その他の人は黒という決まりがあるようですが、実際は色や模様が入っているものを締めている人もかなり見かけます。女性も黒一色ではなく、目立たない柄や色の入った服を着ている人が多いです。日本の礼服のような冠婚葬祭のための服というものはなく、普段着ているものの中から地味なものを選んで着ていくので、黒一色といった統一感はありません。でも誰も気にしませんし、私もこちらのほうが自然かなと思うようになりました。今回は故人が民族楽器の演奏者だったため、同じ演奏グループのメンバーや民族ダンスのグループの人達が参列していましたが、彼らはみんな演奏時に使うスウェーデンの民族衣装を着ていました。
教会での式も、型にはまらず、アットホームな感じでした。牧師さんが進行していくのですが、途中で故人の息子さんにスピーチを促すと、息子さんは亡くなったお父さんとの楽
式が終わって、棺を先頭に参列者が退場し、教会の外で霊柩車に載せられた棺を見送る際にも、演奏グループによるニッケルハルパの演奏がありました。故人の娘さんの「明るく
送り出してあげたい」という希望により、夏至祭のお祭りのときなどにみんなが輪になって踊る明るい曲が演奏されました。春の暖かな陽射しの中で、綺麗な民族衣装を着た演奏グループが奏でるシンプルで明るいメロディーを聞きながらの送り出しは、悲しいけれど穏やかで何か心を奪われる、とても印象的な風景でした。
式の後は、近くのレストランに移動して昼食会が催されました。メインの料理はレストランによるものでしたが、デザートは、ケーキ作りが趣味だった故人を偲んで、演奏グループや民族ダンスグループのメンバーたちがいろいろな手作りケーキを持ち寄りました。食事の合間には、またニッケルハルパやギターの演奏があり、そのうちに隅っこの方で即席トリオの楽しい演奏も始まったりして、音楽いっぱいのアットホームな雰囲気の会となりました。お葬式なのでもちろん悲しいのですが、故人を温かく送り出そうというみんなの気持ちが溢れた、素朴で心温まる素敵なお葬式でした。
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