Söderåsen 国立公園に紅葉を見に出かけました
マルメから北に65km、車で約1時間のところにあるSöderåsen国立公園に、今年も紅葉を見に出かけました。我が家はこの公園が大好きで、これまでに季節を問わず20回以上訪れていますが、やはり秋が一番多いです。今回は、これまでに秋のSöderåsenで撮った写真を使って、この大好きな公園をご紹介したいと思います。
Söderåsenは、2001年に国立公園に指定された約16平方kmのスコーネ地方最大の自然保護区域で、スウェーデン語で南の(söder)尾根(ås)という意味です。åsは、氷河によって運ばれた小石や砂が積もってできた尾根状の地形を指すことが多いのですが、Söderåsenのåsは、約1億5000万年前に断層に挟まれた土地が沈んで峡谷となり、そうやってできた複数の峡谷に挟まれて沈まずに残った部分が尾根状の台地となったものです。このため、峡谷の側面には険しい断層の崖が見られます。
Söderåsen国立公園には、正面と南側の2つの入口があります。正面入口には、ビジターセンターと広い駐車場があり、カフェも併設されています。ビジターセンターの裏には、美しいブナ林に囲まれた湖があります。湖の周りには、子どもたちが遊べる広い草原や、BBQができるピクニックエリアがあります。
ビジターセンターを起点に、車椅子でも通行可能なよく整備された木道でこの湖の周りを巡る900mのショートコースや、明るい尾根伝いに渓谷を遡り、深い谷底まで降りて渓流沿いに戻ってくる高低差のある7.7kmのロングコースなど、いくつかの周遊ハイキングコースがあります。
スコーネ地方最高標高地点(海抜212m)のKopparhattenと呼ばれる尾根は、ビジターセンターから2kmほどハイキングコースを歩いたところにあります。ここからは落差90mの深い峡谷を足元に見下ろすことができ、また目を上げれば遠くスコーネの緩やかに続く地形を眺めることもでき、一部のスウェーデンのハイカーたちからはSkånes Grand Canyonと呼ばれているそうです。海抜2000m以上、落差1500m以上もある本家の米国グランド・キャニオンが聞いたら気を悪くしそうですが、ほとんど高低差のないスコーネ地方に住んでいると、そう言いたくなるほどダイナミックな風景だということなのでしょう。因みに、この写真はKopparhattenの向かい側の尾根から撮ったものです。
Söderåsenにおける自然保護の基本的な考え方として、森、山、水などの自然の変化を尊重し、生物の多様性を進化、促進させることがあります。そのため、なるべく自然に手を加えず、例えば枯れたり嵐などで倒れた木は片付けずにそのままの形で残されます。たしかに歩いていると、倒木が渓流やハイキングコースをふさいでいるのをよく見かけます。今回は嵐の直後で、とくにたくさんの倒木がありました。そういった場所では、水はせき止められて経路を変え、人が歩くコースも迂回します。倒れた木は、時とともに苔やキノコ、その他の植物で覆われていき、これが昆虫の生活を豊かにします。こうしてSöderåsenには原生林の多くの特徴が保存され、豊かな生態系が育まれます。
自然に手を加えすぎないとは言っても、ハイキングコースはとてもよく整備されており、しっかりした靴をはけば小学生でも十分歩くことができます。うちの娘も、スウェーデンに来た翌年の5歳の時から何回も歩いています。まあ最初の頃は、コース終盤で燃料切れになっておんぶで戻ってきたこともありましたが。
公園の南側入口には、ツーリストオフィスと駐車場があり、近くにはユースホステルがあります。正面入口と比べて駐車場も小さく、ややマイナーな感じの南側入口は、どちらかと言うとSöderåsenの穴場的なエリアで、訪れる人も少なくてアットホームな雰囲気を楽しめます。ツーリストオフィスから車椅子でも行ける整備された林道を1.2km進むと、Odensjönという湖があります。Odensjön湖は、きれいな冷たい水をたたえた直径150mのほぼ円形の湖で、その静寂さと神秘的な雰囲気から底なしの湖と言われています(実際は深さ19m)。周囲には尾根伝いにOdensjön湖を見下ろせる4.3kmのハイキングコースもあります。
Odensjön湖では、釣りも楽しめます。入漁料100krで虹鱒2匹まで持ち帰ることができます。我が家も10年前に、Odensjön湖で初めての釣りに挑戦しました。当時まだ6歳だった娘も、落ちていた木の枝に糸と針をつけて、丸めたパンを餌にして釣りの真似事をしていました。
その娘の釣り針になんと40cmもある虹鱒がかかったのです。私はまさかそんな大物が釣れるとは思っておらず大慌て、ご本人はびっくりして固まっていましたが、近くにいた人たちにも手伝ってもらって大騒ぎで引き上げました。これぞビギナーズ・ラックと言いつつ、うちに帰って塩焼きにして味わいました。
それほどここが静かで魚が人慣れしていないということかもしれませんが、それ以後何回か挑戦して釣れなかったことも事実です。水がきれいなので大きな魚がたくさんいるのは見えるのですが、向こうからも人が見えて警戒しているのでしょう。娘はまだ小さかったから魚から見えなかったのかも。不運な虹鱒です。
Söderåsen国立公園には入園料とか駐車料といったものはなく、自分たちでランチやおやつと飲み物を持参すればお金は一切かかりません。別に特段の田舎暮らしをしているわけでもないのに、ふと思い立てばいつでも、マルメやコペンハーゲンに通勤するのと同じ距離と時間で、こんなに静かな深い自然にアクセスできるのは、南スウェーデンに暮らす大きなメリットだと思います。
また、あまり知られていませんが、Söderåsenの西側にはKlåverödというハイキングエリアが隣接しています。こちらにもきれいな森や湖、湿地帯を巡る2kmから5~6kmのハイキングコースがいくつも整備されているのですが、みんな有名なSöderåsenに行ってしまうので、紅葉シーズンでもほとんど人に会わず、静かに散策を楽しむことができます。ハイキングコース以外には小さなユースホステルと避難小屋くらいしか施設はありませんが、静けさを求めるならこちらもお薦めです。
コメント
コメントを投稿